バーティブホールディングスの将来性を解説

まぬるん

投資歴5年。米国株を中心に株式投資を行う。株や経済関係の本は300冊以上読破。独自の「黒字転換期」を狙った投資法を確立。投資4年で元手を3倍にする。

VRT

「半導体は派手だけど、最後に勝つのは“冷やす・動かす・止めない”の裏方かもしれない。」

バーティブ・ホールディングス(VRT)は、需要が増えてきたデータセンターのインフラ統合企業です。
本記事では、同社の事業の中身、AIがもたらす需要ドライバー、競合との違い、注意すべきリスク、私の投資スタンス、同社の将来性までを短時間で解説します。

※本記事の内容は情報提供を目的としたものであり、特定企業への投資を推奨するものではありません。
投資に関する意思決定は、ご自身の判断と責任にてお願いいたします。

moomoo証券の公式サイトはこちら

バーティブはデータセンターに強いインフラ企業

バーティブ・ホールディングス(Vertiv, ティッカー:VRT)は、データセンターや通信ネットワークの“止められない”現場を支えるインフラ企業です。
派手な半導体やクラウドと違って、表舞台には出にくい。
でも、サーバーを動かし続けるための「電力」「冷却」「ラック」「監視サービス」を一気通貫で提供できるのが同社の強みです。
AIサーバーが増えるほど、裏方であるバーティブの出番が増える——この構図が投資家から注目される理由です。

事業の柱:電力・冷却・ラック&モジュール・サービス

ざっくり言うと、次の4本柱で稼いでいます。

領域何をしている?投資家的な見どころ
電力(Power)UPS(無停電電源装置)、DC電源、配電盤停電や瞬低でもサーバーを守る“最後の砦”。
AIサーバー増で容量ニーズも上向き。
冷却(Thermal)精密空調、液冷、熱交換GPU密度の上昇で発熱が急増。
空冷+液冷のハイブリッド需要が追い風。
ラック&モジュールラック、キャビネット、プレハブ型のミニデータセンター“早く・まとめて・最適に”を実現。
増設スピードが価値に直結。
サービス/ソフト監視、遠隔運用、保守導入後の継続収益。
稼働率アップ=顧客満足=解約されにくい。

ブランドと強みの源泉

「Liebert(ライバート)」という冷却・電源ブランドや、「Avocent(アボセント)」など歴史ある製品群を抱え、現場での信頼性を積み上げてきました。
データセンターは一度止まると大損害が発生します。
だからこそ、“実戦での稼働実績”が最大の資産になります。

机上の性能より、実環境で安定して動くか。ここでバーティブは評価を得てきました。

バーティブの主要顧客と市場

主戦場は以下の3つ。

  • ハイパースケール:クラウド大手や生成AIでGPUを積みまくるプレイヤー。新設・増設の波に直結。
  • 通信(5G/エッジ):基地局やエッジ拠点の電力・冷却需要。小型でも“止められない”。
  • 産業/商業:金融、医療、工場などミッションクリティカルな施設。分散して底堅い。

この三層を押さえることで、好景気不景気でも乗り越えられる売上を上げることができます。
特にAI向けの高密度サーバーは電力と冷却の要件が一気に跳ね上がるため、バーティブの統合提案(電力×冷却×ラック×導入サービス)に価値が出やすいです。

単品よりも「まとめて任せる」需要が増えるほど、同社の出番が増えます。

バーティブの将来性:データ時代が求めている企業

結論から言うと、AIサーバーの高密度化で「電力×冷却×ラック」を一気通貫で供給できる企業が主役化しており、その代表格がバーティブです。
GPUが増えるほど発熱と電力が跳ね上がり、空冷だけでは厳しい領域が増える——ここに同社の土俵があります。

AIが変える熱密度と電力——液冷・ハイブリッド冷却の台頭

生成AIの普及で、データセンターはより高密度・大電力・高発熱へ。
結果、空冷に液冷を組み合わせるハイブリッド化が加速しています。

バーティブ自身も「2025年のデータセンタートレンド」として、高密度計算を支える電力・冷却の統合強化、AI規制・省エネ対応の重要性を指摘しています。

AI前提のインフラづくりは、もはや“特殊”ではなく“標準化”の段階に入ったという見立てです。 vertiv.com+1

受注・売上のモメンタム:数字面の裏づけ

2025年7月公表のQ2決算では、売上・EPSが大幅増、受注も前年同期比で二桁増
会社資料では受注/売上比(BtoB)が約1.2倍、TTM(直近12か月)のオーガニック受注成長が約11%と「受注>売上」で積み上がる構図が確認できます。
さらに通期見通しを上方修正し、AIデータセンター関連の強い需要を背景にガイダンスを引き上げました。 s205.q4cdn.com+2investors.vertiv.com+2

投資家目線の要点:
・“売上の伸び”に加え“受注が先行”しているかを見る
・ガイダンスの上方修正=需給の強さと価格決定力の示唆

“統合力”の補強:ラック買収でAI対応を厚く

2025年7月にGreat Lakes Data Racks & Cabinets の買収を発表、同年8月にクローズ。
電力・冷却に“ラック/エンクロージャー”を組み合わせた統合ソリューションをさらに強化し、AI向けの高密度統合提案の厚みを増しました。

設計〜実装〜保守まで「まとめて速く」を進める狙いで、データセンターの建てる速度こそ価値という流れにフィットします。 インベスターズ+1

それでも油断は禁物:過熱と揺り戻しのリスク

AI建設バブル懸念や、一部四半期での需要鈍化観測・目標株価引き下げが出ると株価が荒れる場面も。
「期待先行→反動」のサイクルは常に頭に置きたいポイントです。

とはいえ、中長期の需要ドライバー(AIの電力・冷却課題)は構造的という評価が主流で、短期ボラを挟みつつも“テーマの持続力”は意識されています。 Investopedia+Investopedia

——要するに、AIが突きつける“電力・熱・実装スピード”の三重苦に、バーティブは製品群+現場力+M&Aで応えている、というのが現在地です。

バーティブの競合との比較と差別化

同じ“データセンターの縁の下”で戦う顔ぶれは強敵揃い。ざっくり地図を描くとこうなります。

主な競合の位置づけ

競合会社得意領域投資家目線の注記
シュナイダーエレクトリック配電・UPS・精密空調・DCIM世界網の広さと製品網の厚み。エンタープライズ〜ハイパースケールまで隙が少ない。
イートン配電・UPS電力に強い。産業分野を含め裾野が広く、景気の波を“ならす”効果。
ABB配電・自動化超高圧〜中圧の電力系が強み。大規模案件の電力側で存在感。
Delta/DELTA電源・冷却価格競争力と製品レンジ。アジア案件での実装スピードが武器。
STULZ 精密空調空冷・間接蒸発冷却など“熱”の深掘り。液冷併用の潮流に対応中。

バーティブの差別化ポイント(私の着眼)

  • “統合力”で時間を買う
    電力(UPS/配電)×冷却(空冷+液冷)×ラック&モジュール×保守サービスをワンストップで束ねられるのがバーティブの肝。ハイパースケールは“とにかく速く安全に立ち上げたい”。この「設計〜調達〜実装〜運用」までの導線の短さが競争力の強さ。
  • 高密度対応の現場ノウハウ
    AIワークロードは“熱・電力・配線”の全部がキツい。バーティブはラック設計から配電・冷却・気流制御まで現場でのすり合わせが早い。机上の最適化ではなく、実機・実装の歩留まりで差をつけるタイプ。
  • モジュール化とスケール適応
    プレハブ型やモジュラー構成で、増設の刻みを細かくできる。大増設だけでなく、エッジや既存棟のスピード増設に強い。
  • M&Aで“穴”を埋める姿勢
    ラックやエンクロージャーなど周辺の弱点を買収で補完。電力・冷却との組合せ提案を厚くし、AI対応のセット提案で受注率を上げにいく。

まとめ:
シュナイダー=盤石な総合力、イートン=電力厚み、ABB=高圧電力の強み
その中でバーティブは“統合提案×実装スピードが強み。AI波で“速さ=価値”が増すほど、バーティブの出番は増える——という見立てです。

リスクと見極めポイント

結論:テーマは強いが“波”も大きい。数字と現場の両面で過熱を見張るのがコツです。

需要サイクルとガイダンス反動

  • 前倒し需要→反動減:AI投資は大型ゆえ、四半期の山谷が出やすい。
  • 顧客集中リスク:ハイパースケーラー向け比率が高い局面では、単一顧客の発注変動が業績に響く。

実装・供給ボトルネック

  • 液冷の“現場落とし込み”:配管・冷媒・ラック設計などの実装難易度が高く、工期遅延や歩留まり悪化は敵。
  • 供給制約:一部部材(熱交換器、電源系)や技術者の確保がタイトだと、納期と粗利が圧迫される。

バリュエーションとセンチメント

  • 期待先行リスク:好決算でも「織り込み済み」で売られることがある。
  • 金利・為替:金利上昇はグロース評価に逆風、為替は多地域売上の換算に影響。

マクロ・規制・電力網

  • 系統接続の遅れ:電源確保・送電網整備待ちで、建設計画が後ろ倒しになる可能性。
  • 省エネ・水使用の規制:冷却方式の選択肢が狭まり、コスト構造が動く余地。

ウォッチすべき指標(決算での“見る順番”)

  • 受注/売上比(Book-to-Bill)>1が続くか
  • 受注残・売上の伸び率(加速か減速か)
  • **粗利率(特にThermal)**のトレンド
  • FCF創出力(在庫と運転資本の効率)
  • 液冷/高密度関連の売上構成(ミックス改善)
  • サービス売上比率(景気耐性の底上げ)

私の基本スタンス:短期で追いかけすぎず、指標が崩れない限り“押し目拾い&分散”。テーマ継続性を数字で確認し続けるのが吉。

まとめ:バーティブはデータセンターインフラの本命候補

バーティブ・ホールディングスは、AI時代のデータセンターで不可欠な「電力×冷却×ラック×運用サービス」を一体で提供できる“縁の下の主役”。

GPU高密度化が進むほど液冷やハイブリッド冷却の需要が増え、同社の統合力と実装スピードが評価されやすい構図です。
一方で、前倒し需要の反動や実装ボトルネック、過熱したバリュエーションには注意が必要となります。
受注/売上比、Thermalの粗利、FCFなど“数字の持続”を見極めつつ、分散と押し目でリスクをならす。
テーマの持続力を信じるなら、焦らず“数字で追う”が吉です。

結論:“半導体の裏主役”が報われる相場では主役級の一角。
数字(受注・粗利・FCF)でテンポを追い、スピードと統合力が効く局面が続く限りは、ウォッチ継続に値する銘柄だと考えています。

バーティブホールディングスを購入するなら手数料最安水準のmoomoo証券がオススメ。

ChatGPT Image 2025年7月23日 10 05 13
黒転投資とは?メリット・デメリットと成功のコツ

「黒転投資って聞いたことあるけど、なんだか難しそう…」そんな方にこそ知ってほしい、実はシンプルで魅力的な戦略があります。 黒転投資とは、赤字企業が黒字に転換する“転換点”を狙う投資手法。タイミングを掴 ...

ChatGPT Image 2025年6月4日 08 50 14 e1748995578799
機関投資家の動きを個人投資に活かす方法

株式投資は「自分が良いと思う銘柄」を選んでも必ずしも勝てません。重要なのは“みんなが買う銘柄”を見極めること。まるで「1位を当てる美人投票」のように、市場全体が注目する銘柄に乗ることが、値上がりの波に ...

4241a9ff443ccc36185957eaffcf10ea e1750194441602
黒字転換株の選び方と3つの注意点

「赤字続きだった企業が、黒字になった瞬間に株価が急騰した」――そんな事例を見て、「自分もあのタイミングで買っておけば…」と思ったことはありませんか? この記事では、注目される前に仕込める“黒字転換株” ...

413fd5536b8a7744bfbe96cd11ed2643 e1750663575680
コスパ最強!米国株アプリおすすめはコレ

米国株投資を始めたいけれど、「どの証券会社のアプリがいいの?」と悩んでいませんか?最近は取引手数料が無料のところも増え、選ぶ基準は“コスパ”と“アプリの使いやすさ”が重要になっています。 本記事では、 ...

279832b0eb4a3b0a56c14d6e87f81db1 e1750642487823
【体験談】スマホで簡単!moomoo証券の口座開設方法を画像付きで紹介

「moomoo証券の口座開設って難しそう…」そんな風に感じていませんか?私も最初は不安でしたが、実際にスマホだけで簡単に手続きができ、驚くほどスムーズに口座開設が完了しました。 この記事では、実際の操 ...

ChatGPT Image 2025年6月2日 08 49 40 e1748823638626
財務データで読み解くクァンタムスケープ|いつ黒字転換できるのか?

革新的な全固体電池で注目されるクァンタムスケープ。私自身もこの企業に投資しており、将来性には大きな期待を寄せています。 しかし、現時点では売上ゼロ・赤字継続という不安要素も多く、慎重な見極めが必要です ...

c1d1de1e0380e5ef978527bb2108f4f3 e1752542443499
セレブラスが2025年後半に上場か|AI需要で加速

「セレブラスっていつ上場するの?」──そんな疑問を持ったあなたへ。 AI専用チップ「WSE」で注目されるセレブラスが、ついに2025年後半にIPOを予定していると報じられています。評価額は最大80億ド ...

証券会社のAI機能を比べてみた

「証券会社のAIって、どこも同じに見える…」そんなふうに思っていませんか?実は、AI機能の内容や使いやすさは、証券会社によって大きく違います。moomoo証券のように、銘柄分析や決算の要約までサポート ...

-おすすめ銘柄