新NISAでレバレッジ商品が買えない3つのワケ

まぬるん

投資歴5年。米国株を中心に株式投資を行う。株や経済関係の本は300冊以上読破。独自の「黒字転換期」を狙った投資法を確立。投資4年で元手を3倍にする。

「新NISAでレバレッジ商品が買えないって本当?」
そう疑問に思った方へ、本記事ではその理由を丁寧に解説します。

私自身、旧NISAでは実際にレバレッジ商品を運用していた経験がありますが、新制度では非課税対象から外れてしまいました。
なぜそうなったのか?そして、レバレッジ投資をあきらめるべきなのか?
制度の背景から代替案まで、投資歴4年の視点でわかりやすくまとめました。

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なぜNISAでレバレッジ商品(ETFなど)は買えないのか?

「え、NISAでレバレッジ商品って買えないの?」

そう思った方も多いのではないでしょうか。実は、以前のNISA制度ではレバレッジ型商品の購入が可能でした。
実際、私自身も数年前の一般NISA枠で、TQQQ(ナスダック3倍ETF)やSOXL(半導体3倍ETF)、さらにはレバレッジ型の投資信託といったレバレッジ商品を購入していた経験があります。

しかし、2024年から始まった新NISA制度では、これらの商品が非課税対象から除外されています。
それは単なる制度変更ではなく、金融庁が明確な意図をもって排除したという背景があるのです。

新NISAの目的と制度の基本

新NISAは、「貯蓄から投資へ」という国の方針の一環で、長期・積立・分散による資産形成を推進する目的で設計されています。
そのため、短期で売買されやすい商品、リスクが高すぎる商品、そして制度の趣旨にそぐわない商品は、最初から非課税枠の対象外とされています。

「長期・安定投資」の観点から除外される商品とは

新NISAで対象外となる商品は、以下のように整理されています。

除外される商品理由
レバレッジ型投資信託(例:レバナス、ブル型ETFなど)値動きが激しく、長期投資に不向き
インバース型投資信託(ベア型など)下落局面で利益を出す仕組みであり、長期・安定には該当せず
信用取引、FX元本超の損失リスクあり、NISA制度では禁止

レバレッジETFは、「値動きが大きい=チャンス」と捉えがちですが、NISAの目的は“リターンの最大化”ではなく“リスクをコントロールした上での長期での資産形成”なのです。

レバレッジETFが除外される明確な理由

金融庁は、2023年の説明会資料にて、次のように明言しています。

「一般NISAの対象となる公募投資信託は、レバレッジ型やインバース型のような、短期的な値動きを追求する商品は除外されます。」

金融庁▶ https://www.fsa.go.jp/common/about/pamphlet/nisa2024/

つまり、制度の根幹に関わる理念に照らして、レバレッジ型商品は除外されているということです。

理由① 投資リスクが高すぎると判断されている

新NISAでレバレッジETFが対象外となっている大きな理由のひとつが、「投資リスクの高さ」です。
これは単に値動きが激しいというだけではなく、元本を大きく減らす可能性があるというリスクが背景にあります。

金融庁がレバレッジ商品に抱く懸念

金融庁は、新NISAにおいて「レバレッジ型投資信託」や「インバース型投資信託」を除外する理由として、以下のように明示しています。

「著しくリスクが高く、長期の資産形成には適さない」

金融庁▶ https://www.fsa.go.jp/common/about/pamphlet/nisa2024/

この一文が示す通り、NISAという“国民の資産形成支援”という性格をもつ制度において、ギャンブル的な商品との距離をとる方針が明確になっています。

一般投資家を守るための除外措置

レバレッジETFの多くは、1日の値動きに対して2倍〜3倍の価格変動を起こす仕組みです。
たとえば、米国のSOXL(半導体3倍ブルETF)などは市場が1%上昇すれば3%上がる代わりに、1%下落で3%の損失を被ります。

これにより、特に投資初心者が安易に手を出すことで大きな損失を被るケースが多く、金融庁としても警戒を強めているのです。

✅ 補足:実際、金融庁は以前から「毎月分配型ファンド」や「高レバレッジ商品」などについて誤認を招く設計への注意喚起を続けてきました。

金融庁▶ https://www.fsa.go.jp/news/r2/shouken/20210331/20210331.html

このように、制度側の“リスク管理”の観点から除外されているのが、この理由①です。

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理由② NISAの「長期投資」方針と相性が悪い

新NISA制度の核心は、長期・積立・分散による資産形成です。
この方針とレバレッジ商品の運用スタイルは、そもそも相性が悪く、制度設計の段階から“ミスマッチ”とされてきました。

レバレッジ型ETF・投資信託の仕組みと短期性

レバレッジ型の金融商品には、ETFだけでなく、投資信託タイプも存在します。
たとえば「レバナス(NASDAQ100の3倍ブル型投信)」のように、ETFと同様に指数の2倍〜3倍の値動きを目指す設計となっています。

これらの共通点は、“毎日の値動きに対して一定倍率のリターンを狙う”こと
そのため、長期保有すると複利的な影響により、価格が元の指数とは大きく乖離する可能性があります。

商品種別代表例特徴
レバレッジETFTQQQ、SOXL、TECLなど日々の価格変動に対して3倍の動きをする設計。海外ETFが多い。
レバレッジ型投資信託iFreeレバレッジNASDAQ100(通称:レバナス)など信託報酬がETFより高い傾向。日本円で購入可。

例:指数が+5%→−5%と動いた場合、通常インデックスは±0に戻りますが、レバレッジ型では−2.25%程度の損失が残る仕組みになります。

このように、短期での値動きを狙う商品設計となっており、「長期保有による資産形成」という新NISAの基本方針とはかけ離れています。

NISAと相性の良いETF、投資信託とは?

新NISAで非課税対象となるのは、以下のような「長期投資向き商品」です。

商品タイプ特徴
インデックス型投資信託eMAXIS Slim全世界株式など値動きが比較的穏やかで長期向き
高配当ETFVYM、HDVなどインカム重視で安定感あり
成長株ETFQQQ、VTIなど長期成長を見込んだ分散型運用

つまり、NISAは「短期で一発当てたい」投資スタイルには合わない制度なのです。

📝補足:金融庁のNISAガイドブックでも「長期・積立・分散」をキーワードにして、毎月の積立投資を想定した商品構成を推奨しています。
金融庁▶ https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/nisa.html

理由③ 信用取引やFXも同様にNISA制度の目的に合わない

新NISA制度では、信用取引やFXといった“元本を超えるリスクがある取引”は一切対象外となっています。
レバレッジETFも、制度上は現物取引ですが、実質的に“信用取引に近い”リスクを含む商品として扱われているのです。

そもそもNISAでは信用取引がNG

NISA口座のルールには、以下のような明確な禁止事項があります。

禁止されている取引理由
信用取引損失が無制限になるリスクがあるため
FX(外国為替証拠金取引)レバレッジ効果により価格変動リスクが高すぎるため
先物・オプション投機性※が高く、短期取引向けのため

金融庁としては、NISAをあくまで「一般の人が安心して長期投資できる制度」として位置づけているため、損失リスクが元本を超える可能性がある取引は一貫して排除されています。

※投機性:簡単に言えばギャンブル性です。株は基本的にギャンブルではありませんが、性格な知識が無ければギャンブルに成り下がります。

レバレッジ系は実質的に“信用取引に近い”扱い

たとえばSOXLやTQQQなどのレバレッジETFは、実際にはETF内部でデリバティブや借入を用いて運用されており、構造としては信用取引に酷似しています。

✅ 金融庁は「レバレッジ型・インバース型の投資信託は、価格変動リスクが高く、投資家の意図しない値動きになり得る」として除外の理由を明示しています。
https://www.fsa.go.jp/common/about/pamphlet/nisa2024/

このため、投資家のリスク管理能力や商品理解度に差が出やすく、“制度の趣旨に合わない”と判断されるのも無理はありません。

それでもレバレッジ投資したい人へ|代替手段の提案

「レバレッジETFがNISAで買えないのは分かった。でも、やっぱり攻めの投資もしたい…」
そう感じている方は少なくないはずです。

ここでは、NISAでは実現できない“レバレッジ投資的アプローチ”を取る方法や、代わりに検討すべき商品をご紹介します。

特定口座での運用+確定申告の工夫

NISAでは買えなくなったとはいえ、特定口座ではレバレッジETFを普通に買うことができます
特定口座(源泉徴収あり)を使えば、確定申告の手間も不要です。

ただし、含み損が出たときに損益通算や繰越控除を利用するには、確定申告が必要となる点も覚えておきましょう。

比較項目NISA特定口座
税金非課税約20.315%課税(利益の内)
レバレッジETFの購入× 不可○ 可能
損益通算・繰越控除× 不可○ 可(申告要)

税務処理に不安がある場合は、源泉徴収ありの特定口座を開設しておくのが安心です。

積立NISAとの併用戦略

長期資産形成と短期リターン狙いの“2口座使い分け”戦略もおすすめです。

  • NISA口座(つみたて or 新NISA):eMAXIS Slim全世界株式、VTIなど安定型を積立
  • 特定口座:SOXL、TQQQ、TECLなどレバレッジETFで短期勝負

このようないわゆるコア・サテライト戦略をとることで、安定性とリスク許容のバランスを保ちつつ、攻めの投資も両立できます。

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特定口座では売買手数料が安い証券会社を選ぼう

NISAの口座では大手証券会社の売買手数料はほとんど無料ですが、特定口座では手数料がかかります。
参考にmoomoo証券とSBI証券・楽天証券の比較表を掲載します。

項目moomoo証券SBI証券楽天証券
米国株銘柄数5,6504,3834,638
米国ETF銘柄数472463422
米国株信用取引銘柄数1,1021,0161,051
取引通貨米ドル/円米ドル/円米ドル/円
外国株の売買手数料(課税口座など通常時)約定代金の0.132%(税込)※約定代金の0.495%(税込)約定代金の0.495%(税込)
為替手数料無料無料無料
注文方法指値/成行/逆指値指値/成行/逆指値指値/成行/逆指値
NISA取引
NISA口座(米国株)の売買手数料0円(無料) Moomoo0円(無料) SBI証券+2SBI証券+20円(無料) 楽天証券+2楽天証券+2

出典
・NISA口座での米国株売買手数料0円は、各社の公式ページを確認して追記(moomoo 手数料ページ、SBI「ゼロ革命」等、楽天NISA手数料案内)。楽天証券+Moomoo+SBI証券

注記

  • 手数料・取扱銘柄数は変更されることがあります。
  • 表中の「通常手数料」はNISA枠外(課税口座など)の目安です。
    NISA枠内では上段の通常手数料ではなく、下段のNISA手数料(0円)が適用されます。
  • 為替手数料は、moomooは円貨決済・リアルタイム為替とも完全無料です。
    他社の為替条件は見直しが頻繁なので、各社のHPで確認して下さい。
黒転ハンター

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まとめ|NISAは“守り”、レバは“攻め”の使い分けを

新NISAでは、TQQQやSOXLのようなレバレッジETFが買えなくなりました。
これは「制度改悪」と感じる人もいるかもしれませんが、長期的に見れば制度本来の趣旨に沿った妥当な判断とも言えます。

NISAは、あくまで“守り”の資産形成を支援する制度です。
安定したインデックスファンドやETFで着実に資産を育てるのが基本となります。

一方、TQQQやSOXLといったレバレッジETFは、“攻め”の投資。
短期で大きな値動きを狙う人にとって魅力的ですが、リスクも相応に大きくなります。

だからこそ、NISA口座と特定口座を使い分けることが重要です。

  • NISA口座:非課税で長期投資をコツコツ継続
  • 特定口座:チャンスがあればレバレッジETFで攻める

このように、制度の特性を理解して「自分に合った投資スタイル」を組み立てることが、将来の後悔を減らす近道です。

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