
赤字企業って、やっぱり危ない?――そう思って敬遠している人も多いかもしれません。
でも実は、赤字でも株価が伸びる企業はたくさんあります。
重要なのは、「どんな赤字か?」を見極める目を持つこと。
本記事では、赤字企業を買うかどうか判断するための5つのチェックポイントをわかりやすく解説しました。
売上の伸び、黒字転換の兆し、資金の持久力、将来性、そして企業の誠実さ…。
この5つを丁寧に見れば、将来の成長株をいち早く発見できるかもしれません。
「今は赤字だけど、これは持っておきたい」と思える企業に出会うために。
ぜひ最後まで読んで、あなたの投資判断に役立ててください。
そもそも「赤字=悪」ではない?
「赤字企業」と聞くと、「危ない」「買っちゃいけない」と反射的に思ってしまう方も多いかもしれません。
でも、実は赤字=即アウトとは限らないんです。
なぜ赤字企業の株が買われるのか
株式市場では、「今の業績」よりも「未来の成長」に期待して株が買われることがあります。
とくに、成長分野にいる企業や、黒字転換が見えてきた企業には、赤字でも資金が流れやすい傾向があります。
たとえば、以下のようなケースです。
- AI、半導体、脱炭素といった成長市場にいる企業
- 巨額の先行投資で今は赤字だが、将来の黒字化が見えている企業
- 赤字縮小中で、次の決算で黒字化の可能性が高い企業
こういった企業には、投資家の期待=株価が先に上がることも珍しくありません。
成長投資中の企業が赤字なこともある
たとえば、アマゾンも創業から長い間赤字を出し続けていました。
理由は、「利益よりも成長を優先していたから」です。
現在でも、SaaS企業やバイオベンチャーなどは、売上拡大や開発のための投資を優先して、あえて赤字を出している企業も多く存在します。
この場合、“意図的な赤字”=悪ではないという判断も大切になってきます。
PERがマイナスでもチャンス?
「PERがマイナスだから割高」と感じる人もいますが、実はPERは赤字企業には使えない指標です。
赤字企業においては、PBRや売上成長率、営業キャッシュフローなどを見た方が、判断材料としては有効です。
見極めポイント①「売上の伸びがあるか」
赤字企業を見るときに、まず最初にチェックすべきなのが売上の伸びです。
売上が伸びている=商品やサービスにニーズがある証拠です。
売上が右肩上がり=市場のニーズあり
たとえ赤字でも、売上が年々伸びている企業は、事業が拡大していると判断できます。
需要があるから売れる。これはビジネスの大前提です。
逆に、赤字に加えて売上も右肩下がりの企業は要注意。
それは市場からの「撤退サイン」かもしれません。
たとえば以下のようなケースはポジティブに見られます。
期 | 売上 | 営業利益 |
---|---|---|
2022年 | 50億円 | -10億円 |
2023年 | 70億円 | -7億円 |
2024年 | 95億円 | -4億円(予想) |
このように、売上が成長していて、赤字幅も縮小している場合は、黒字転換が現実的に見えてくるのです。
赤字でも需要がある企業は要チェック
売上が伸びているということは、「お金を払ってでも欲しい」と思われている状態。
つまり、その企業の商品やサービスに市場価値があるということです。
それが続けば、いずれ利益もついてくる可能性は高まります。
投資判断に迷ったときは、まず「この会社、売れてる?」と確認してみるのがおすすめです。
見極めポイント②「黒字転換の目処が立っているか」
売上が伸びていても、いつまでも赤字では投資家としては不安になりますよね。
そこで重要なのが、「いつ黒字になりそうか?」という視点です。
営業利益の改善傾向
まず注目したいのは営業利益の推移です。
営業利益は企業の本業の稼ぐ力を表す指標なので、ここが改善しているかどうかで本業の回復力がわかります。
たとえば、赤字幅が年々縮小していたり、営業損益がトントンのラインまで来ているなら、それは黒字転換のサインです。
- 2023年:営業損失 -12億円
- 2024年:営業損失 -5億円
- 2025年(予想):営業利益 +1億円
こういった推移を見せている企業なら、「そろそろ利益が出そうだな」と判断できます。
来期黒字化を見込むガイダンスの有無
さらに、企業が発表するガイダンス(業績予想)もチェックしましょう。
「来期は営業黒字を見込んでいます」と書かれていれば、企業自身が黒字化に自信を持っているということです。
また、決算説明資料で「コスト圧縮」「利益重視へ転換」などの方針が出ていれば、意識が“成長”から“収益”へと切り替わってきたサインです。
これは投資家から見ても非常にポジティブな材料になります。
見極めポイント③「キャッシュの持ちこたえ力」
いくら将来性があっても、お金が尽きたらゲームオーバーです。
だからこそ、赤字企業を見るときは「いつまで資金が持つか?」を確認する必要があります。
現金残高や資金調達力を見る
まずは現預金残高とフリーキャッシュフロー(FCF)をチェックしましょう。
例として、以下のような状態を考えてみてください。
指標 | 数値 |
---|---|
現預金 | 80億円 |
年間の営業キャッシュ流出 | -10億円 |
この場合、単純計算であと8年は資金が持つという見方ができます。
ただし、開発投資やM&Aでのキャッシュ流出が増える可能性もあるため、できれば直近のキャッシュフロー推移も合わせて確認したいところです。
また、継続的に資金調達できる企業(増資、社債、銀行借入など)であれば、仮にキャッシュが減ってもすぐに倒産という事態は避けられます。
倒産リスクが低いことが前提
どんなに成長性や黒字転換の期待があっても、資金ショートして倒産すれば株はゼロになります。
だからこそ、最低限の“安全確認”として、以下のような指標をざっくり見ておくと安心です。
- 自己資本比率(20%以上が理想)
- 流動比率(1倍以上)
- 継続企業の前提に関する注記(疑義注記とも:決算短信で要確認)
「持ちこたえ力があるか」=赤字企業を買う前提条件といっても過言ではありません。
見極めポイント④「将来性あるビジネスモデルか」
赤字企業への投資で最も重要なのは、「この会社の未来に価値があるか?」という視点です。
いくら今は赤字でも、将来の市場やビジネスが伸びれば、利益はあとからついてくるからです。
業界全体の成長性
まずは業界トレンドを見てみましょう。
以下のような分野は、今後数年〜10年スパンで大きく伸びると予想されている領域です。
- 生成AI、クラウド、SaaS
- 脱炭素、再生可能エネルギー、水素関連、原子力発電
- 半導体、EV、次世代医療技術
- サイバーセキュリティ
こういった“伸びる市場にいる企業”は、現時点では赤字でも、将来の成長とともに収益化できる可能性が高いです。
逆に、縮小産業や成熟市場では、「赤字→黒字化」の道筋がかなり厳しくなります。
競争優位性や独自性の確認
将来性がある市場でも、その会社が生き残れるかどうかは別の話です。
以下のようなポイントを確認しましょう。
- 競合よりも優れた技術やサービスがある
- 他社がマネできない独自ノウハウがある
- 特許・ライセンス・ブランド力が強い
たとえば、「この会社じゃないとダメ」と思わせる強みがある企業は、いずれ収益化できる確率が高いです。
将来性 × 独自性 = 「赤字でも持っておきたい株」になりうる、ということです。
見極めポイント⑤「決算・IRからの誠実さ」
見落とされがちですが、実はかなり大事なのがこの「企業の姿勢」です。
赤字企業であるからこそ、投資家への情報開示や説明の仕方に信頼できるかどうかが問われます。
粉飾・ごまかしがないか
まず警戒すべきは「赤字の中身を隠そうとする企業」です。
- 損失の先送り(例:のれんの減損を避けている)
- 不自然な会計処理(例:研究開発費を資産計上)
- IRでのポジティブ発言ばかり(リスク言及なし)
こうした兆候があれば、「誠実さに欠ける」「信用できない」と判断すべきです。
投資において、信頼できる情報があるかどうかは、勝敗を分ける要素になります。
投資家への説明がわかりやすい企業は信頼度アップ
逆に、たとえ赤字でも、「なぜ赤字なのか」「今後どうするのか」を丁寧に説明している企業は信頼できます。
- 決算説明資料がわかりやすい
- マーケットへの説明責任を果たしている
- ネガティブな情報も正直に出している
こうした企業は、長期的に株主を大切にしていく姿勢があり、黒字転換後の株主還元にも期待が持てます。
個人的には、赤字企業を買うときは、「この会社の社長が好きか?」という感覚もけっこう大事だと思っています。
IRや動画、インタビュー記事などで社長の発言を見て、「この人についていきたい」と思えるか?——
そんな視点も、見極めの“補助線”としておすすめです。
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moomoo証券まとめ:赤字企業の中に、未来の主役がいるかもしれない
赤字企業と聞くと、ついネガティブな印象を持ってしまいがちですが、すべてが投資対象外とは限りません。
むしろ、将来の成長性を秘めた“原石”が眠っているのもまた事実です。
この記事で紹介したように、見極めるポイントは以下の5つ。
- 売上の伸びがあるか
- 黒字転換の目処が立っているか
- キャッシュの持ちこたえ力があるか
- 将来性のあるビジネスか
- 誠実な情報開示をしているか
これらを総合的に判断すれば、リスクを抑えながらチャンスを狙う投資ができます。
赤字だからといって一律に避けるのではなく、「その赤字に意味があるのか」を見極める目を持ちましょう。
そして最終的には、「この会社に未来を託せるか?」というあなた自身の感覚も大切にして下さい。
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