
エヌビディアが自社GPUのパートナーに選んだクラウド企業「コアウィーブ」。
近年その名を耳にする機会が増えたけれど、なぜこの企業が注目されているのでしょうか?
本記事では、エヌビディアとの技術的・資本的な関係、他社にはない強み、そして将来的な成長性やリスクまでを解説します。
AI時代のインフラを担う“黒子”的存在、コアウィーブの真価に迫ります。
※本記事の内容は情報提供を目的としたものであり、投資の勧誘を意図するものではありません。
投資に関する意思決定は、ご自身の判断と責任にてお願いいたします。
話題の「コアウィーブ」ってどんな会社?
AIクラウドに特化した注目企業
コアウィーブ(CoreWeave)は、AIや機械学習に特化したクラウドインフラを提供する、比較的新しいアメリカ企業です。
AWS(アマゾン ウェブ サービス)やMicrosoft Azure(マイクロソフト アズール)などの大手と同じ「クラウド事業者」ではありますが、その中身はかなり異なります。
一般的なクラウドよりも、AI処理に最適化されたGPUサーバーを高速・大量に提供できる点が最大の強みです。
特に注目すべきは、生成AIの台頭により、従来のクラウドでは処理しきれないほどの大量かつ高速なGPU計算が求められるようになってきた点。
そこに的確に対応したのが、他でもないコアウィーブでした。
なぜ急に名前が出てきたのか?
コアウィーブの名前が広く知られるようになったのは、2023年以降。
OpenAIの登場でAI需要が一気に拡大し、エヌビディアのGPUが「金鉱」として注目された中で、そのGPUを最大限活用できるクラウド企業として急浮上したのがコアウィーブです。
また、同社はGPUを単に大量に揃えているだけではありません。
AI処理に最適なサーバー構成、冷却技術、低遅延ネットワークなど、AI用途に特化した設計を全社的に行っており、「GPUクラウド界のスペシャリスト」としての地位を築いています。
エヌビディアとの関係はどれほど深い?
GPU供給で密接なパートナーシップ
コアウィーブは、エヌビディアから最新GPUをいち早く大量に調達できる特別なパートナー企業です。
たとえば、H100やB100、さらには次世代のBlackwell(GB200)など、通常は入手が困難な高性能GPUを、コアウィーブは他社よりも数か月早く導入できる権利を持っています。
これは、エヌビディアが選定したごく一部のクラウド企業に与える称号「Elite Cloud Solutions Provider」に認定されているからです。
つまり、コアウィーブはエヌビディアから信頼された少数精鋭のGPUパートナーということになります。
資本提携と共同戦略の実態
エヌビディアは、単なる技術提携にとどまらず、コアウィーブに対して2025年3月時点で約5%の株式を保有しています。
これは、戦略的にかなり踏み込んだ関係といえるでしょう。
さらに、コアウィーブの株主には、エヌビディアが関与するベンチャーファンド「GPU Ventures」や、著名投資会社Magnetar Capitalが名を連ねており、資本面でもエヌビディアと強く結びついています。
エリートクラウドパートナーとは?
コアウィーブが「エリートクラウドパートナー」として扱われていることは、単なる肩書き以上の意味を持ちます。
エヌビディアがGPUの販売先として最も重視する相手の一つであり、新製品のベンチマークテストや市場投入時の事例作りの“実験場”としても利用されているのです。
実際、2025年に発表されたMLPerfベンチマークでは、コアウィーブのBlackwell搭載クラウドが業界トップクラスのAI学習性能を記録しました。
これは、エヌビディアの製品力とコアウィーブの最適化技術が見事にかみ合っている証拠です。
なぜコアウィーブが選ばれたのか?
技術力と導入スピードの差
エヌビディアが数あるクラウド企業の中からコアウィーブを“選んだ”理由のひとつは、GPUの扱いに特化した技術力です。
他社が汎用クラウドを提供する一方で、コアウィーブはGPU最適化に全力投球。
高密度GPUサーバーや低遅延ネットワークを駆使して、AIワークロードに特化した高速環境を提供しています。
さらに、エヌビディアの新GPUを真っ先に導入し、短期間で実用化するスピード感も圧倒的。
例えば、GB200 NVL72などの最新ハードをいち早く稼働させ、実際に顧客へ提供できる体制が整っています。
クラウド顧客における信頼と実績
コアウィーブのGPUクラウドは、すでにMicrosoftなどの大手IT企業に提供されており、エンタープライズ向けの信頼性も実証済みです。
2025年時点では、売上の72%がMicrosoft向けという集中ぶりからも、その密接な関係性がうかがえます。
このような実績があることで、エヌビディアとしても「新製品を使ったベンチマーク事例の公開」「大手クライアントとの商談材料」など、戦略展開を支える実戦パートナーとして重宝されています。
エヌビディアにとっての「戦略的補完」
もうひとつ大きなポイントは、コアウィーブがエヌビディアの戦略を補完する存在であること。
エヌビディアはGPU開発に集中しており、クラウド展開にはそこまでリソースを割けません。
しかし、自社製品の優位性を市場で示すには、GPUを最大限に生かせるパートナーが不可欠です。
その役割を果たしているのがコアウィーブです。
ベンチマーク、導入事例、技術検証、エンドユーザー向け提供——すべてを担える体制があることで、エヌビディアは自社ブランド力とGPUの市場浸透を一気に加速できます。
今後の展望と懸念点
Microsoft依存と財務リスク
コアウィーブは現在、売上の約72%をMicrosoft向けのサービスが占めており、特定顧客への依存度が極めて高い状況です。
もしMicrosoft側の戦略変更や契約見直しがあれば、業績へのインパクトは避けられません。
加えて、拡大路線を支えるために約88億ドルの債務を抱えており、資金繰りや金利動向も重要なリスク要因です。
成長の裏には、一定の財務的プレッシャーがあることも頭に入れておく必要があります。
しかし、私はMicrosoftがopenAIに出資している限り、Microsoftへの売り上げが、上がることはあっても下がることはないと考えています。
競合との違いと強みは続くのか
クラウド業界では、AWS(Amazon)やGoogle Cloud、Microsoft Azureといった巨大プレイヤーとの競争が避けられません。
今後、彼らがAIインフラをさらに強化してきた場合、コアウィーブがどこまで差別化を維持できるかは未知数です。
とはいえ、エヌビディアとの連携により、コアウィーブは最新GPUを優先的に導入できる優位性を持っています。
この「スピード×最適化×信頼性」という3点セットが維持できれば、ニッチながらも存在感を保ち続けられる可能性は高いでしょう。
コアウィーブの現在の株価は?
コアウィーブの株価:159.7ドル(2025年7月7日時点)
コアウィーブは2025年4月に上場し、上場時は35ドル前後でしたが、わずか2ヶ月で4倍以上に値上がりしています。
この1ヶ月は値上がりが止まり、調整期間に入ったようです。
コアウィーブは今年も来年もまだ赤字予想なので、成長期待が過熱しすぎないかも冷静に見極めたいところです。
まとめ|コアウィーブに注目すべき理由
コアウィーブは、AIインフラに特化したGPUクラウド企業として、今まさに“旬”の存在です。
エヌビディアからの信頼と資本支援を受け、業界最速レベルで最新GPUを導入・活用する体制は、他のクラウド企業には真似できない大きな強みです。
とくに注目したいのは以下の3点:
- エヌビディアから直接出資を受ける戦略的パートナー
- GPUクラウドに特化し、AI時代にフィットしたビジネスモデル
- Microsoftなど大手顧客との実績に裏打ちされた信頼性
一方で、顧客依存や高水準の債務といったリスクもあるため、投資対象として見る場合は冷静な目も必要です。
それでも、AIインフラが急拡大する中で、「GPUの実力を最大限に引き出す企業」として、今後もニュースや投資家の注目を集め続けるのは間違いないでしょう。
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