なぜコアウィーブはエヌビディアに選ばれたのか?

まぬるん

投資歴4年。米国株を中心に株式投資を行う。株や経済関係の本は300冊以上読破。独自の「黒字転換期」を狙った投資法を確立。投資4年で元手を3倍にする。

エヌビディアが自社GPUのパートナーに選んだクラウド企業「コアウィーブ」。
近年その名を耳にする機会が増えたけれど、なぜこの企業が注目されているのでしょうか?

本記事では、エヌビディアとの技術的・資本的な関係、他社にはない強み、そして将来的な成長性やリスクまでを解説します。
AI時代のインフラを担う“黒子”的存在、コアウィーブの真価に迫ります。

※本記事の内容は情報提供を目的としたものであり、投資の勧誘を意図するものではありません。
投資に関する意思決定は、ご自身の判断と責任にてお願いいたします。

話題の「コアウィーブ」ってどんな会社?

AIクラウドに特化した注目企業

コアウィーブ(CoreWeave)は、AIや機械学習に特化したクラウドインフラを提供する、比較的新しいアメリカ企業です。
AWS(アマゾン ウェブ サービス)やMicrosoft Azure(マイクロソフト アズール)などの大手と同じ「クラウド事業者」ではありますが、その中身はかなり異なります。
一般的なクラウドよりも、AI処理に最適化されたGPUサーバーを高速・大量に提供できる点が最大の強みです。

特に注目すべきは、生成AIの台頭により、従来のクラウドでは処理しきれないほどの大量かつ高速なGPU計算が求められるようになってきた点。
そこに的確に対応したのが、他でもないコアウィーブでした。

なぜ急に名前が出てきたのか?

コアウィーブの名前が広く知られるようになったのは、2023年以降。
OpenAIの登場でAI需要が一気に拡大し、エヌビディアのGPUが「金鉱」として注目された中で、そのGPUを最大限活用できるクラウド企業として急浮上したのがコアウィーブです。

また、同社はGPUを単に大量に揃えているだけではありません。
AI処理に最適なサーバー構成、冷却技術、低遅延ネットワークなど、AI用途に特化した設計を全社的に行っており、「GPUクラウド界のスペシャリスト」としての地位を築いています。

エヌビディアとの関係はどれほど深い?

GPU供給で密接なパートナーシップ

コアウィーブは、エヌビディアから最新GPUをいち早く大量に調達できる特別なパートナー企業です。
たとえば、H100やB100、さらには次世代のBlackwell(GB200)など、通常は入手が困難な高性能GPUを、コアウィーブは他社よりも数か月早く導入できる権利を持っています。

これは、エヌビディアが選定したごく一部のクラウド企業に与える称号「Elite Cloud Solutions Provider」に認定されているからです。
つまり、コアウィーブはエヌビディアから信頼された少数精鋭のGPUパートナーということになります。

資本提携と共同戦略の実態

エヌビディアは、単なる技術提携にとどまらず、コアウィーブに対して2025年3月時点で約5%の株式を保有しています。
これは、戦略的にかなり踏み込んだ関係といえるでしょう。

さらに、コアウィーブの株主には、エヌビディアが関与するベンチャーファンド「GPU Ventures」や、著名投資会社Magnetar Capitalが名を連ねており、資本面でもエヌビディアと強く結びついています。

エリートクラウドパートナーとは?

コアウィーブが「エリートクラウドパートナー」として扱われていることは、単なる肩書き以上の意味を持ちます。
エヌビディアがGPUの販売先として最も重視する相手の一つであり、新製品のベンチマークテストや市場投入時の事例作りの“実験場”としても利用されているのです。

実際、2025年に発表されたMLPerfベンチマークでは、コアウィーブのBlackwell搭載クラウドが業界トップクラスのAI学習性能を記録しました。
これは、エヌビディアの製品力とコアウィーブの最適化技術が見事にかみ合っている証拠です。

なぜコアウィーブが選ばれたのか?

技術力と導入スピードの差

エヌビディアが数あるクラウド企業の中からコアウィーブを“選んだ”理由のひとつは、GPUの扱いに特化した技術力です。
他社が汎用クラウドを提供する一方で、コアウィーブはGPU最適化に全力投球
高密度GPUサーバーや低遅延ネットワークを駆使して、AIワークロードに特化した高速環境を提供しています。

さらに、エヌビディアの新GPUを真っ先に導入し、短期間で実用化するスピード感も圧倒的。
例えば、GB200 NVL72などの最新ハードをいち早く稼働させ、実際に顧客へ提供できる体制が整っています。

クラウド顧客における信頼と実績

コアウィーブのGPUクラウドは、すでにMicrosoftなどの大手IT企業に提供されており、エンタープライズ向けの信頼性も実証済みです。
2025年時点では、売上の72%がMicrosoft向けという集中ぶりからも、その密接な関係性がうかがえます。

このような実績があることで、エヌビディアとしても「新製品を使ったベンチマーク事例の公開」「大手クライアントとの商談材料」など、戦略展開を支える実戦パートナーとして重宝されています。

エヌビディアにとっての「戦略的補完」

もうひとつ大きなポイントは、コアウィーブがエヌビディアの戦略を補完する存在であること
エヌビディアはGPU開発に集中しており、クラウド展開にはそこまでリソースを割けません。
しかし、自社製品の優位性を市場で示すには、GPUを最大限に生かせるパートナーが不可欠です。

その役割を果たしているのがコアウィーブです。
ベンチマーク、導入事例、技術検証、エンドユーザー向け提供——すべてを担える体制があることで、エヌビディアは自社ブランド力とGPUの市場浸透を一気に加速できます。

今後の展望と懸念点

Microsoft依存と財務リスク

コアウィーブは現在、売上の約72%をMicrosoft向けのサービスが占めており、特定顧客への依存度が極めて高い状況です。
もしMicrosoft側の戦略変更や契約見直しがあれば、業績へのインパクトは避けられません。

加えて、拡大路線を支えるために約88億ドルの債務を抱えており、資金繰りや金利動向も重要なリスク要因です。
成長の裏には、一定の財務的プレッシャーがあることも頭に入れておく必要があります。

しかし、私はMicrosoftがopenAIに出資している限り、Microsoftへの売り上げが、上がることはあっても下がることはないと考えています。

競合との違いと強みは続くのか

クラウド業界では、AWS(Amazon)やGoogle Cloud、Microsoft Azureといった巨大プレイヤーとの競争が避けられません。
今後、彼らがAIインフラをさらに強化してきた場合、コアウィーブがどこまで差別化を維持できるかは未知数です。

とはいえ、エヌビディアとの連携により、コアウィーブは最新GPUを優先的に導入できる優位性を持っています。
この「スピード×最適化×信頼性」という3点セットが維持できれば、ニッチながらも存在感を保ち続けられる可能性は高いでしょう。

コアウィーブの現在の株価は?

※TradingView提供のチャート

コアウィーブの株価:159.7ドル(2025年7月7日時点)

コアウィーブは2025年4月に上場し、上場時は35ドル前後でしたが、わずか2ヶ月で4倍以上に値上がりしています。
この1ヶ月は値上がりが止まり、調整期間に入ったようです。
コアウィーブは今年も来年もまだ赤字予想なので、成長期待が過熱しすぎないかも冷静に見極めたいところです。

まとめ|コアウィーブに注目すべき理由

コアウィーブは、AIインフラに特化したGPUクラウド企業として、今まさに“旬”の存在です。
エヌビディアからの信頼と資本支援を受け、業界最速レベルで最新GPUを導入・活用する体制は、他のクラウド企業には真似できない大きな強みです。

とくに注目したいのは以下の3点:

  • エヌビディアから直接出資を受ける戦略的パートナー
  • GPUクラウドに特化し、AI時代にフィットしたビジネスモデル
  • Microsoftなど大手顧客との実績に裏打ちされた信頼性

一方で、顧客依存や高水準の債務といったリスクもあるため、投資対象として見る場合は冷静な目も必要です。
それでも、AIインフラが急拡大する中で、「GPUの実力を最大限に引き出す企業」として、今後もニュースや投資家の注目を集め続けるのは間違いないでしょう。

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